『図書館戦争』『塩の街』『レインツリーの国』有川浩

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    JUGEMテーマ:読書
     
    ※ネタバレするつもりはないですが、読み方によってはネタバレになる可能性もありますので、それが嫌な人は読まないでね(*^−^*)



    最近読書づいています。

    もう何年も前にアニメ化して、その頃ちょっと惹かれたものの手を出さずじまいだった『図書館戦争』が最近文庫化されてたので、思い切って読んでみました。

    『図書館戦争』
    行きすぎた言葉狩りが普通に行われる世界が舞台の物語。
    武力・火器までを使って、定められた「望ましくない言葉」を載せている雑誌・書籍の押収をする「メディア良化委員会」、図書館はそれに対抗する機関として武装し、主人公はそこに「憧れの王子様」を追って就職する女の子です。
    最近の規制を思うと、決して絵空事には思えない世界観です。

    「本を焼く世界はいずれ人も焼く」

    本はただの紙の束ではない、誰かの「気持ち」や「意思」の具現です。
    それを規制する・焼くということは、すでに言論の抑圧です。
    子供に見せるべきでないものは確かにあります。
    でも、全部無いものとする、というのは明らかに違う。
    取捨選択はあくまで個人的な権利ですから、それを侮られて奪われるのは筋が違う。
    それを真っ向から、真摯に戦う物語は、胸を衝いて涙が出ます。
    リアルなのは、一般大衆が無関心であること、ぞくっと寒気がします。

    しかし、そんなシリアスな世界ではあるものの、主人公の郁は、高校生の頃、本屋さんで助けてくれた顔も名前も覚えていない「王子様」を追って、図書隊に就職します。
    体力と運動神経だけが取り柄な「170センチ戦闘職種系大女」ですが、彼女の真面目で可愛く、でも失敗の多いキャラクターは愛すべき存在です。
    仕事に恋にまっすぐ、と言うと非常にうさんくさいですが(笑)、まぁ読んで下さいよ。
    ラノベ並みに読みやすい文章です。
    乙女心にキュンキュンしますよw

    …このシリーズの中に「恋の障害」という聴覚障害のある少女と、図書隊員の恋の話があります。
    『図書館戦争』はアニメ化もしてTV放送もされましたが、この話はTV放送はできませんでした。
    理由は「ヒロインが障害者だから」
    TVの規制は「障害者を扱ったアニメを放送してはいけない」と決まっているわけではありません。
    じゃあなぜ放送しないのか、というと、「もし視聴者からクレームが来たら困るから」です。
    つまり、そんな馬鹿げたことをクレームしてくる人間がいる、とTV局が認識しているのです。
    そして、実際そういう人間はいるのだということを、私たちは知っています。

    「障害を持っていたら物語の中でヒロインになる権利もないんですか」

    毬江ちゃんのこの言葉はとても重いと思うんだ。


    評価:
    有川 浩
    角川書店(角川グループパブリッシング)
    ¥ 700
    (2011-04-23)
    コメント:キャラが生き生きとしていて前向きで情熱的で真摯。シリアスな状況でありながらそれに向き合い、そして生きていく物語。いまや言論統制の世界は全くの絵空事ではなく、しかも大衆は現実と同じく無関心という危機感を知る。でも恋愛物語なのです(笑)。王子様はやっぱり王子様ですよね。

    評価:
    有川 浩
    角川書店(角川グループパブリッシング)
    ¥ 700
    (2010-01-23)
    コメント:『図書館戦争』の有川浩のデビュー作。自衛隊3部作の1作目。ラノベ並みに読みやすい文章ながら、キャラの個性や関係性が魅力的。とても面白いと思うんだけど、ただ、『敵』や『悪人』の設定がご都合な印象なので星は4つです。

    評価:
    有川 浩
    新潮社
    ¥ 420
    (2009-06-27)
    コメント:『図書館戦争』のスピンオフ。聴覚障害のある女の子がヒロインだけど、難しい性格で扱いづらくてとてもリアル(笑)。でもそれを越えても彼女を愛おしいと思うもう一人の主人公・向坂君の奮闘がほほえましくなんだか泣けてくる、優しく厳しい物語。一方的にかばうだけが愛情ではない、正面から戦うことも愛情なんだよね。

     『塩の街』
    図書館戦争の有川浩のデビュー作。
    世界各地に突然宇宙から飛来した「塩の柱」が落ち、その時から「人が塩化(死亡)する」という奇病(?)がはびこる。
    交通機関はもちろん、あらゆる都市の機能が麻痺し、人心も荒廃していく中で出会う、女子高生と自衛隊の戦闘機乗りのラブストーリーです。

    こういう風に書くと、栗本薫の「黴」(短編。『時の石』に収録)を思い出すのですが、あれよりはずーっと能動的です。…てゆーか私「黴」を新井素子の作だと勘違いして検索しちゃったことに今気づいたwそして同じ勘違いをしてる人が他にもいて、ちょっとほっとしたw

    有川浩の「男の好み」がデビューのころから変わらないのが見てとれます(笑)
    強くてぶっきらぼうで武士のようなw
    私的には、この年の差カップルに積極的に絡んできて…というか便乗して、「世界を救っちゃわない?」と軽く壮大なことをけしかけてくる入江が、非常に悪人で好みです。
    素晴らしく頭が良く、自覚的に人非人で、意識的に悪人、でもすべてを受け入れる覚悟あってのことで、実際それをやってくれる人がいなかったらきっと事態はずっと収束しないのです。

    この入江を中心にした番外編「浅き夢みし」も良いです。

    塩の街

    『レインツリーの国』
    「図書館戦争」のスピンオフ。聴覚障害のある女性「ひとみ」がヒロイン。主人公の向坂はネットを通じて彼女と知り合い、やがて恋をしますが、ヒロインの、難しく頑固でかたくなな性格にうんざりしたり呆れたりしながらも、恋をやめることができません。

    だから伸行はひとみの言葉に魅かれるのだ。あれほど真摯に使われる言葉はまたとないからだ。
    (中略)
    その声さえ聞かせてくれたら、もう俺は君に振り向いて欲しいなんて考えません
    君と付き合えないとしても、思い出の本について語れたあの始まりからの日々には意味があるので、

    俺はそれで充分です。

    障害があろうとなかろうと、恋した相手のすべてを分かることは絶対できません。
    それでも、受け入れようと、一緒に歩きたいと願う向坂君の真面目で、まっすぐな思いに心を打たれます。

    「ひとみ」は向坂の情熱に押され、勇気を出して顔を上げる結末ですが、私としては、できれば「ひとみ」が会社での態度も考え直すところまで書いて欲しかったなぁ。
    主人公の恋の相手ではあるけれど、社会で生きていく個でもあるのだから。

    レインツリーの国


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